トラネキサム酸というと、女性にとってはなじみ深い成分ですね。
真っ先に思い浮かぶのが、年齢肌にあらわれてくる
ぼんやりジミの「肝斑」治療に使われるということでしょうか。
あるいは、広く知られているのが、歯磨き粉ですね。
そんなトラネキサム酸は、昔から多くの病気の治療薬の成分としても活用されてきました。
今回は、一見全く関係ないと思われるトラネキサム酸と蓄膿症の関係についてご紹介します。
トラネキサム酸の働き
人工的にタンパク質を構成する
必須アミノ酸リシンをベースに合成されたアミノ酸の一種であるトラネキサム酸。
「プラスミン」という炎症を引き起こす生体内の
酵素の働きをおさえる「抗プラスミン作用」があります。
アレルギー症状や炎症を抑える作用があるため、喉の腫れや口内炎、
湿疹やじん麻疹などの治療のためのお薬に幅広く使われています。
蓄膿症とは?
普段からよく耳にする「蓄膿症」ですが、
実際に体験すると非常につらい症状に悩まされます。
常に鼻が詰まった状態で、鼻をかんでもかんでもずっと違和感がある、
頭痛や頭重感が続く、集中できない、口呼吸になり病気にかかりやすくなる、
ニオイがわからなくなる、口から悪臭がするなど様々なトラブルが起こります。
さらに悪化すると、視力低下や記憶力減退、
中耳炎や失明などさらに重い病気を引き起こすので注意が必要です。
風邪や花粉症・ハウスダストなどのアレルギー反応によって
鼻腔が炎症した状態が長引くことで、鼻の奥にある副鼻腔も炎症が起こり、
炎症部分に膿がたまった状態が3か月以上続くと蓄膿症(慢性副鼻腔炎)となります。
悪臭がするというのは、この鼻の奥で溜まった膿のニオイで、
自分で気になるだけでなく、口から漏れ出て周囲の人にも気付かれ、
不快にしてしまうことも少なくないようです。
風邪による鼻づまりと症状が似ているのでそのまま放置してしまい、
悪化させてしまう方も多いので注意が必要です。
他の風邪症状が治ってもずっと鼻がつまり、頬や目の周りや
歯の奥などに痛みを感じたら、蓄膿症を疑ってみた方が良いでしょう。
蓄膿症は、成人だけでなく、小さなお子様からお年寄り、
男性女性を問わず幅広い方に起こりうる症状です。
お子さまの場合は「小児性副鼻腔炎」と言われ、
体の成長とともに治ることもありますが、改善されない場合は
大人になっても症状が続くので、早めの治療がおすすめです。
専用のポットやコップを使い、生理食塩水を鼻に流し込みます。
適当に作った塩水は絶対ダメです!
250ccの水に、塩2gの分量で作ってくださいね。
風邪などの予防に毎朝おこなっている方も多いそうです。
こちらの記事でも蓄膿症について詳しく説明しています。
トラネキサム酸と蓄膿症
トラネキサム酸の持つアレルギー症状や炎症を抑える作用は、
蓄膿症の鼻の内部で起こっている炎症を抑えるために効果的です。
これまで風邪をひいたときや鼻づまり、
花粉症などのアレルギー症状で病院にかかったことがある方は、
きっとトラネキサム酸のお薬を処方されていることは少なくないことでしょう。
また慢性の蓄膿症以外にも
急性の蓄膿症にもトラネキサム酸を処方されることが多いです。
トラネキサム酸は安全性が高く、副作用もほとんどありません。
ただ注意が必要なのは、蓄膿症以外に病気にかかっていて薬を服用している方です。
トラネキサム酸を摂取すると血液が溶けにくくなるので、
血栓性の病気(心筋梗塞や血栓性静脈炎、脳血栓など)がある方は、
お医者さんに事前に話して相談するのを忘れないようにしてください。
まとめ
比較的安全で、蓄膿症以外の症状の治療にも幅広く用いられているトラネキサム酸。
蓄膿症になると、集中できない、イライラする、ニオイが気になる、
食欲が落ちるなどさまざまな日常生活を困難にする症状が出てくるだけでなく、
悪化すると失明などさらに恐ろしい病気をもたらす侮れない病気です。
もし「蓄膿症かな」と思ったら早めに病院を受診し、
トラネキサム酸等の薬で重症化させないようにしてくださいね。